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外傷性緑内障

右目の視力低下と眼痛を訴える34歳男性が近医を受診したとき、矯正視力は0.9/1.2で右目の角膜には浮腫がみられ、眼圧は68/16mmHgでした。
翌日の大学病院への紹介受診時には、緑内障点眼薬とダイアモックス内服にて眼圧は20/18mmHgと正常化していました。
図はその時の右目の隅角写真です。全周で虹彩根部が矢印で示す強膜岬から後退した位置にみられます。

これは隅角離開の所見です。
保管されてあった以前のカルテによると20年前、13歳のときに、至近距離から発射したBBガンの玉が右目をヒットして外傷性白内障でPEA/IOL手術を受けていました。

隅角の構造

隅角には角膜、線維柱帯、強膜、毛様体、虹彩が顔を出しています。
強膜に接する毛様体面には毛様体縦走筋が走っていて、強膜岬に付着しています。
毛様体の水晶体に近い側には毛様体輪状筋が円周方向に走っています。

隅角損傷

鈍的眼外傷で隅角に外力が加わった際の主な変化は以下のごとくです。
1. 虹彩離断:図の緑三角の部位での断裂
2. 隅角離開:図の赤三角の方向の裂け目
3. 毛様体解離:図の青三角の方向に裂けて毛様体が強膜から離れる

隅角離開

鈍的外傷後、半年~十数年を経過して生じる開放隅角緑内障では隅角離開がみられることが多く、強膜岬と虹彩根部の間の距離が拡大します。
英語ではangle recessionと呼ばれ、そのまま訳せば隅角後退ですが、日眼の用語集では隅角離開とされています。
白木邦彦: 鈍的眼外傷と前房隅角. 眼科 52:637-41.2010

強膜岬と虹彩根部の間は強膜表面に残る灰色の縦走筋が広く観察されます。
眼圧上昇はこのような変化とともに生じた線維柱帯の瘢痕形成によると考えられます。
山上淳吉. 外傷性緑内障. In: 杉山和久, 谷原秀信, eds. 眼科臨床エキスパート:緑内障治療のアップデート: 医学書院.92-7. 2015