眼内レンズIOLを挿入した白内障術後の患者さんに、光や影がみえる異常な視覚症状が2000年以後注目されdysphotopsiaと呼ばれています。
このうち視野周辺部に環状の光が特に夜間にみられる症状はpositive dysphotopsia (PD)と呼ばれ、後発白内障対策で使用頻度が増加したシャープエッジIOLのエッジ内面で光が反射することが原因とされています。
佐々木洋: 眼内レンズによるDysphotopsiaの症状と対策. 眼科手術 30:105-8.2017
RV = 0.8 (1.2 X -0.75D cyl-0.25D Ax 45)
LV = 0.6 (1.0 X +1.0D cyl-1.25D Ax 115)
半年前に他院で右眼の白内障手術PEA/IOLを受け、左眼は軽度の白内障のみです。
手術後、夜の外出時に右眼に白い光が視野の周辺に見えるようになり、不快で頭がおかしくなるほどだといいます。
執刀医に相談しても再手術かあるいは放置して慣れるかのいずれかしかないといわれ、相談のため筆者の勤務する病院の眼科を受診しました。
右眼を散瞳するとIOLのエッジが瞳孔の下方にかろうじて観察できました。
その状態で倒像鏡の光を見てもらうと右目の上方視野に2/3の円弧の光が見える症状が再現できました。
Positive dysphotopsiaだと説明して0.5%ピロカルピン点眼薬を処方、夜間の外出前の点眼を指導しました。
2か月後の受診時に効果を尋ねたところ、4回ほど点眼を試して症状の8割は改善したとのことでした。