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低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制

近視の進行予防に1日2時間以上の屋外活動は有効ですhttps://meisha.info/archives/1643が、医療の面でも近視進行を抑制する方法が下記のごとく報告されています。

1.  治療用コンタクトレンズ、眼鏡レンズ
2. オルソケラトロジーhttps://meisha.info/archives/2337
3. 低濃度アトロピン点眼
長谷部聡: 学童期の近視進行抑制 原理と効果 日本の眼科 92:1129-34.2021

点眼薬による近視進行予防

このうちこれまでは自由診療であった低濃度アトロピン点眼(リジュセア®ミニ点眼液0.025%)が2026/6から近視進行抑制の選定療養として認められました。
薬剤費として1カ月数千円の自己負担は必要ですが、検査などの診療費は健康保険の対象となります。

アトロピンが近視進行を抑制する機序

アトロピンはアセチルコリンAChが作用するM(ムスカリン)受容体をブロックする抗コリン作用(正確には抗ムスカリン作用)の薬剤で、M1からM5まで5種類あるムスカリン受容体すべてをブロックします。
このうち散瞳や調節麻痺作用は瞳孔括約筋や毛様体筋https://meisha.info/archives/5133で発現しているM3受容体のブロックによるものです。
一方調節とは関係のないM1受容体のみを選択的に阻害するピレンゼピンの眼軟膏によって、眼軸長の延長を鈍化させ近視の進行を抑制できたとする無作為比較試験が報告されています。
Tan DT et al.: One-year multicenter, double-masked, placebo-controlled, parallel safety and efficacy study of 2% pirenzepine ophthalmic gel in children with myopia. Ophthalmology 112:84-91.2005
このことからアトロピン点眼はM3受容体ブロックによる調節麻痺作用ではなく、おそらくは脈絡膜や強膜に発現するM1受容体に作用して眼軸の延長を抑制した結果、近視進行を抑制するのではないかと考えられています。
中村葉: 学童近視の治療 低濃度アトロピン、医学のあゆみ 279:125-9.2021

アトロピン濃度に関して

通常使用されるアトロピン点眼液は1%ですが、低濃度薬の0.01、0.025、0.05%が濃度依存的に眼軸長延長を軽減し近視進行を抑制することが証明されています(LAMP study:383人のランダム化比較試験)。

ただし散瞳や調節障害による羞明(まぶしさ)や近方視困難などの副作用も増加するため、今回本邦で認められたのは0.025%です。