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ISCEV標準全視野ERG

ERG: electroretinogram 網膜電図https://meisha.info/archives/6306は表に示す条件によって異なる波形が記録されます。

注 * ERGの波形はアンプで増幅しますが、通常は陰性のa波の後に陽性のb波が引き続く低周波数帯の電位変動を主体に記録します。
一方b波の上行脚に重畳する高周波数帯の律動様小波oscillatory potentials: OPsを強調して記録するにはアンプ(増幅器)のband pass filterを通常の0.3 – 300 Hzから75 – 300 Hzに変更します。

ISCEV Standard

国際臨床視覚電気生理学会(International Society for Clinical Electrophysiology of Vision: ISCEV)は全視野刺激ERGの標準的な記録条件をISCEVプロトコルとして定めています。
そしてISCEV Standard for full-field clinical ERG(ISCEV 標準全視野ERG)として、図に示す6種類のERG波形(DA 0.01; DA 3; DA 10; DA OPs; LA 30Hz; LA 3)の記録を推奨しています。
Robson AG et al.: ISCEV Standard for full-field clinical electroretinography (2022 update). Doc Ophthalmol 144:165-77.2022

略語表記の意味

DAはdark adaptationで暗順応下、LAはlight adaptationで明順応下ということです。
DA 0.01やLA 3などの数字は刺激光の強度です。
DA OPsはDA3またはDA10の条件下での律動様小波OPsを強調して記録したものです。
LA 30Hzは明順応下で30 cycles/second(Hz)のフリッカー光刺激で記録したERGです。

6つの波形の日本語表記と意味

ISCEV Standardの6つの波形に対応する本邦での呼称とその発生起源は表のごとくです。

注 * b波の起源である双極細胞には、錐体系では光のオンに反応するon型とオフに反応するoff型の2種類が区別されるが、杆体系ではon型双極細胞のみ。
篠田啓: 全視野ERGの種類と波形成分. 日本の眼科 95:1262-8.2024

各反応の意義

DA 0.01(杆体応答):杆体が働く暗順応下で錐体が反応しない程度の弱い刺激光のため、杆体系のみの機能を反映しています。
DA 3, DA10(杆体錐体混合反応またはフラッシュ最大応答):暗順応下ですが強い刺激光のため杆体、錐体がともに刺激された反応でmixed responseとも呼ばれます。
DA 3をstandard flash、DA10をbright (maximal) flashと呼んで区別する研究者もいます。
DA OPs(律動様小波):糖尿病網膜症や網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞などの網膜循環障害で減弱または消失します。
LA 3(錐体応答):明順応によって杆体の反応は抑制されるので錐体系のみの反応です。
LA 30Hz (30Hzフリッカー応答):時間的分解能が錐体(S錐体を除く)に比べて劣る杆体の反応を除外することで錐体系の反応を記録します。

Y大学での記録波形を図に示します。