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錐体系 ERG と杆体系 ERG

ISCEV標準全視野ERG、いわゆるISCEV standardの6つのERG波形https://meisha.info/archives/6478(DA 0.01; DA 3; DA 10; DA OPs; LA 30Hz; LA 3)のうち、DA 0.01は杆体系、LA 30HzとLA 3は錐体系の反応です。
その比較は両系いずれかが選択的に障害される病態の診断に有用です。

白点状眼底Fundus albipunctatus

白点状眼底(以前の眼底白点症)は杆体系の機能的障害である(広義)先天停在性夜盲のひとつでhttps://meisha.info/archives/4395、暗順応に長時間を要し、通常は非進行性です。

図左は夜盲を主訴に初診した17歳女性の右眼で黄斑周囲から周辺に細かい白点がみられ左眼も同様です。
図右のERG、1段目の杆体応答はフラットです。
2段目の混合反応は通常の暗順応時間(30分)では小さなa波のみでほぼフラットですが、3時間程度の長い時間、暗順応を行えば正常に近いa波b波がみられると思われます。https://meisha.info/archives/1873
4、5段目の錐体応答は正常振幅です。

網膜色素変性及び類縁疾患

網膜色素変性retinitis pigmentosa: RPは杆体が優勢に障害される進行性夜盲の代表です。
しかし杆体が消失した後、錐体も失われていく(杆体-錐体ジストロフィ)ので、多くのケースでは眼科受診時にすでにすべてのERG波形が平坦化していますが、早期の軽症例であれば錐体系のERGが残存していて記録できます。

図はRP類縁の色素性傍静脈脈絡膜網膜萎縮Pigmented Paravenous Chorioretinal Atrophy: PPCRA https://meisha.info/archives/4688の54歳女性です。
図左、中央の眼底写真、自発蛍光写真では網膜静脈に沿う変性がみられます。
図右端のERGで1段目の杆体応答と2、3段目の杆体錐体混合応答はフラットです。
これに対して4、5段目の錐体系の反応は低振幅ですが反応はみられます。

夜盲を訴える遺伝性網膜ジストロフィinherited retinal dystrophy: IRD以外では、ビタミンA欠乏による特発性夜盲でも杆体優位の振幅低下がみられます。

錐体(-杆体)ジストロフィ

錐体系が選択的、あるいは優位に減弱消失する疾患として、錐体ジストロフィcone dystrophyや錐体-杆体ジストロフィcone-rod dystrophy https://meisha.info/archives/4772があります。

図は昼盲、羞明と色覚異常が主訴の38歳女性で、すでに母親を含め複数名が錐体ジストロフィと診断されていた常染色体顕性(優性)遺伝の家系の一員です。
図左と中央の上段の眼底写真では眼底色調が粗造で下段の自発蛍光写真では黄斑中央と周囲の輪状部が低蛍光です。
図右端のERGで1段目の杆体応答はほぼ正常振幅です。
2、3段目の杆体錐体混合応答はほぼ正常振幅ですが律動様小波は消失しています。
4、5段目の錐体応答は消失に近い低振幅です。