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シラクーサの聖女:ルチア

長靴の形をしたイタリア半島、シチリア Sicilia(イタリア語)はその足指の先の三角定規に似た形の島で、その右辺の南の端近くに、ギリシャ時代に栄えたシラクーサ Siracusaがあります。
シラクーサからイオニア海 Mar Ionioに突き出したOrtigia島にある大聖堂Duomo、その隣のサンタ・ルチア・アッラ・バディア教会Santa Lucia alla Badiaはシラクーサの守護聖人でもある聖女ルチアを祀る教会です。
母親の病治癒を願ってシチリアの聖女アガタ Sant’Agataの墓前で祈った際、夢枕にアガタが現れ、その導きによりルチアは敬虔なクリスチャンとなりました。
キリスト教が公認された313年以前のイタリアでは、キリスト教に対する多くの迫害がありました。
ルチアも改宗するよう周囲から迫られましたが、拒み続けて紀元304年に殉教しました。

両目をえぐり取られる拷問

さまざまな迫害のうち最後の拷問としてルチアは両目をえぐり取られましたが、奇跡によって見ることができたとされています。
そのため彼女の像は両目を載せた皿をもつ像として多く描かれています。

しかし視覚受容器である眼球と視覚中枢である後頭葉をつなぐ視神経が切断されている状態でどのような機序で[ものを見る]ことができたのでしょうか?
これを説明できる医学的解釈には残念ながら思い当たりません。
なおルチアは光を意味するLuxまたはLucidというラテン語から派生した名前だということで、目および視覚障害者の守護聖人とされています。