フォークト-小柳-原田病(VKH)は頭痛や耳鳴りなどの目以外の症状を伴い、両眼同時に急性発症することが特徴の汎ぶどう膜炎です。
急性期に眼底検査をすると視神経乳頭から黄斑部にかけてもこもことした滲出性網膜剝離が観察されます。
最新のOCTでこの剥離部分をよく観察すると通常の網膜剝離とは異なり隔壁構造がみられます。
図では網膜色素上皮(RPE)から視細胞外節が剥離する網膜剥離部(○)と網膜外層内の滲出液貯留部(☆)の2種類のスペースが隔壁(矢印)によって隔てられているのがわかります。
岸章治. OCT眼底診断学 第3版: p288, エルゼビアジャパン. 2014
この隔壁は、視細胞内節の遠位部を示すellipsoid zone (EZ)のラインに連続していることから、外節が内節から剥離した構造であると報告されました。
Ishihara K et al: Acute Vogt-Koyanagi-Harada disease in enhanced spectral-domain optical coherence tomography. Ophthalmology 116:1799-807.2009
しかしこの網膜外層内の滲出液腔の天井には外境界膜(external limiting membrane: ELM)のラインはみられるものの、EZの高反射ははっきりしません。
そのため、内節近位部の粗面小胞体に富むミオイドmyoidでのsplitと解釈する報告がみられます。
Agarwal A et al.: Bacillary layer detachment in acute vogt-koyanagi-harada disease: A Novel Swept-Source Optical Coherence Tomography Analysis. Retina.2020
論文著者らはミオイドでの剥離をBacillary layer detachment (BLD)と呼ぶことを提唱しています。