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後部強膜炎のTサイン

強膜炎の分類

強膜炎には緑膿菌などによる感染性強膜炎と、より頻度の高い非感染性強膜炎があり、後者の原因には関節リウマチ、GPA: granulomatosis with polyangiitis(多発血管炎性肉芽腫症以前のウェジナー肉芽腫)などがあります。
また部位病型としては充血が目立つ上強膜炎前部強膜炎以外に、前眼部所見に乏しい後部強膜炎があります。

後部強膜炎の画像検査

後部強膜の炎症による肥厚と浮腫の画像化にはCT、MRI、超音波検査などが必要です。
超音波Bモードエコーでの眼球後壁に沿う浮腫による低反射像は視神経の低反射像と連続するためTサインと呼ばれます。

症例:76歳女性

両眼の充血がありU病院眼科で両眼のぶどう膜炎と診断され、0.1%ベータメサゾン点眼で充血と前房内炎症は改善しましたが、右眼に目立つ黄斑浮腫を生じて視力が低下したためY大学病院眼科を紹介されました。

大学初診時

すでに前房内炎症は目立ちませんが、矯正視力は0.6/0.9でOCTにて右眼に強い黄斑浮腫(図上段)を認め、フルオレセイン蛍光造影検査(図下段)では網膜血管とは関連しない小斑状多発漏出黄斑部の蛍光貯留(図矢印)を認めました。

眼痛は訴えませんが、充血の強かった3か月前には強い頭痛があったとのことで眼窩を含めた頭部MRI撮影を行ったところ、両眼球の後壁に沿ってT2WIで高信号の浮腫像(図左矢印)がみられました。

そこで超音波Bモード検査も行ってみると眼球後壁に接する低反射像(図中央、右の黄矢印)が視神経(赤矢印)に連なるTサインが両眼ともにみられ、後部強膜炎と診断しました。
抗CCP抗体、抗PR3-ANCA抗体なども含め、血液検査では強膜炎の原因疾患を示唆する結果は得られませんでしたので、原因不明の後部強膜炎としてプレドニゾロン40mgを内服開始したところ、黄斑浮腫は軽快しました。