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眼瞼下垂の原因と動眼神経麻痺

眼瞼下垂は片目または両目の上まぶたが下がって、上方の視界が遮られる状態です。
上まぶたを挙上するのは主に眼瞼挙筋で、その支配神経である動眼神経麻痺では眼瞼下垂を生じます。
そのほか、神経筋接合部の障害の重症筋無力症や、筋組織自体の病気、あるいは加齢などでの眼瞼挙筋腱膜の菲薄断裂などでも眼瞼挙筋が働かないために眼瞼下垂が起こります。
一方眼瞼挙筋に連絡する瞼板筋ミュラー筋とも呼ばれる)を支配する交感神経の麻痺(ホルネル症候群)でも眼瞼下垂は起こります。
これら眼瞼下垂の原因を下表に示します。

高齢者に突然生じる眼瞼下垂

高齢者の片側に急性あるいは突発性にみられる眼瞼下垂の多くは、脳動脈瘤の圧迫による動眼神経麻痺と糖尿病などによる血管性動眼神経麻痺です。
前者はクモ膜下出血を起こして生命に関わるので、迅速な対応が必要です。
散瞳していて頭痛を伴い易い点が、後者との鑑別に役立ちます。
緊急で脳外科を紹介し、そちらでCTまたはMRI/MRAをオーダーしてもらうのがよいです。