子どもの斜視の多くは外斜視または内斜視です。
視線のズレの斜視角が大きい場合は、時期を選んで手術が勧められます。
外斜視や内斜視の水平斜視では外直筋あるいは内直筋の作用を強める強化手術や弱める弱化手術が行われます。
強化手術としては筋肉を縫い縮める短縮術、弱化手術としては筋肉の強膜への付着部位を後方にずらす後転術があります。
強化手術 | 弱化手術 | |
外斜視 | 内直筋短縮術 | 外直筋後転術 |
内斜視 | 外直筋短縮術 | 内直筋後転術 |
外斜視では内直筋の強化手術である内直筋短縮術や外直筋の弱化手術である外直筋後転術が行われます。
左右どちらかの目に内直筋短縮術と外直筋後転術を行う場合は前後転術と呼ばれます。
[前後転術]の[前]は付着部位を前方に移動する前転術のことで短縮術と同じ効果があります。
一方、両目の外直筋を後転する両外直筋後転術もよく行われます。
斜視手術はどのように行うのでしょうか?外斜視に対する前後転術で説明しましょう。
白目(強膜)の外側を覆う結膜を切ってめくると、黒目の縁から約7mm後方に外直筋が現れます。
外直筋後転術では筋の付着部を切り離した後、5-10mm後方の強膜に縫い付けます。
内直筋短縮術では、内側の結膜を同様に開いて内直筋を露出してこれを縫い縮めます。
後転術による外直筋の力の減弱と短縮術による内直筋の力の増強で、左目の視線が右方向に回転して右目の視線と同じ向きになります。
図は外斜視に対する左目の前後転術の術前、術後の写真です。
何mm後転するか、何mm短縮するかは、多くの場合、術前の斜視角から計算で決めます。