• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

長すぎるまつ毛

片目をまぶたの上からこぶしで激しくこする]という訴えで2歳6カ月の女児が受診しました。
母親の話ではこするのは1分くらいで、その後はなんともなかったかのように平然としています。
1日のうち多いと10回くらいもそのようなことがあり、3カ月前から続いているそうです。
睫毛内反かとも思われますが、1分でよくなり、繰り返す点が不自然です。

診察

2歳としてはとてもお行儀のよい子で手持ちのスリットランプで見せてくれました。
両目ともまつ毛は長く、左の下まぶたのまつ毛の1本が特に長くその先端が角膜に触れそうでしたが、角膜にびらんはなく、そのままでは何の悪さも起こりそうにありません。

推測される病態

しばらく考えた末、おそらくその長いまつ毛が折れ返って下まぶたと下方球結膜の間にはさまれることがあるのではないかと思われました。

対応

実際に目撃した訳ではありませんが、それ以外に症状を引き起こす原因が思い浮かばず、母親に説明したところ納得されました。
病態を確認するため、長いまつ毛を抜いて症状がおさまるかどうかを確認することも考慮しましたが、周囲のまつ毛もかなり長く、巻き込まれるまつ毛を特定することは困難です。
下まぶたの皮膚を思いっきり引っ張れば症状はとれるはずです。
母親の心配は重症な病気が隠れていないかということでしたので、痛がるのが治まらない場合はそのように対応することを提案しました。