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レーベル粟粒血管腫症

網膜毛細血管拡張症

Gassの教科書にはPrimary or congenital retinal telangiectasisとしてLeber’s miliary aneurysmsCoats’ syndrome (disease)が同じグループとして記載されています
Gass JDM. Stereoscopic atlas of macular diseases diagnosis and treatment 4th edition. Vol. 1 494 (Mosby-Year Book, 1997).
その特徴として、「不規則な血管拡張と透過性亢進を示す網膜血管異常で、主に男性の片眼にみられる非家族性の疾患」と記載されています。
さらに「病変の主体は毛細血管だが、網膜動脈に多数の血管瘤を生じることもある」とされ、その軽症型としてType1の黄斑部毛細血管拡張症(macular telangiectasia: Mac Tel)が存在するとしています。
すなわち、コーツ病、レーベル粟粒血管腫症Leber’s miliary aneurysms、Type1黄斑部毛細血管拡張症は一連のスペクトラム上の疾患であるとの考え方です。

レーベル粟粒血管腫症

このうちレーベル粟粒血管腫症は成人にみられ、カラー眼底写真での黄白色の滲出性変化が目立ちます。

フルオレセイン蛍光眼底造影検査を行うと、異常に拡張した毛細血管と血管瘤が観察できます。

滲出性変化が黄斑の中心窩に及ぶと視力が低下するので、それまでにレーザー光凝固治療で原因となる血管瘤と拡張毛細血管をつぶすことが効果的です。
野村昌弘他: 17 年間経過観察している Leber 粟粒血管腫症の 1 例. 臨床眼科 62: 567-570, 2008.

治療経過

レーベル粟粒血管腫症に対して、滲出性変化の原因となる血管瘤や透過性亢進の拡張血管をレーザー光凝固すると、輪状白斑などの滲出性変化は徐々に吸収されていきます。
しかし再発を繰り返して複数回のレーザー治療を要し、数カ月から数年の治療経過になることもあります。

その経過はカラー眼底写真を並べてみるとよくわかります。
CLAIOなど電子カルテのサブシステムには画面分割で画像を示す機能があり、利用すると経過が一目瞭然で患者さんへの説明にも威力を発揮します。
図に示す31歳男性症例では初診時(図右下、矯正視力0.1)の輪状白斑がレーザー光凝固後に消失(図左下)したものの、再発後(図右上)の追加レーザーで再度吸収(図左上、矯正視力0.6)しています。