霰粒腫、眼瞼内反、良性の眼瞼腫瘍などのまぶたの病気では外来手術を行うことがあります。
その際に挟瞼器を(図左)使用すると、出血がおさえられ、まぶたを固定できるので便利です。
(図右は左上眼瞼を挟瞼器ではさんで皮膚を切開し、瞼板に連続するマイボーム腺嚢胞を露出したところです。一部破嚢して内容が露出しています。)
挟瞼器を使用するまぶたの手術ではまぶたの裏側の結膜と表面の皮膚の両方の知覚を麻痺させます。
麻酔がよく効いていないと、挟瞼器でまぶたを挟む際に、患者さんが痛がって手術を始めることができません。
エピネフリン(E)入りの1%キシロカインを注射筒に吸って、26または27ゲージの針をつけます。
まずは結膜円蓋部麻酔です。上まぶたの手術ではまぶたを翻転し、下まぶたではまぶたを引き下げて、瞼板の縁にあたる円蓋部結膜の下に針をすべりこませます(図左)。
ゆっくりシリンジを押すと瞼板と結膜の間に麻酔液が広がり浮腫状になります(図右)。
膨らんだ結膜が、家庭用の簡易プールのへりように瞼板全幅に広がれば成功です。
次はまぶたの皮膚面の麻酔で、翻転したまぶたをもどして皮下に注射します。
軽くマッサージしながら3-5分程度待ち、まぶたを挟瞼器で軽く挟んでみます。
患者さんが痛いと訴えるようなら、痛みが内側か外側か尋ねて適宜麻酔を追加します。
挟瞼器でまぶたをはさんでも痛くないと言えば、手術は半分終わったようなものです。