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グリスニングとホワイトニング

白内障術後のIOL眼を細隙灯顕微鏡で観察すると、IOL前面と後面が白く濁って見えることがあります。
これはグリスニングglisteningホワイトニングwhiteningと呼ばれる現象です。
通常視力にはほとんど影響しません。

図は矯正視力1.0のIOL眼をスリット幅を変化させて撮影したものです。
IOL自体は透明で暗く見えますが、その前後面が白く混濁しています。

原因

グリスニングはIOL内部にトラップされた水分子が集合してできた粒子による光散乱が原因です。
吸水率の低い疎水性軟性アクリル素材のIOL(アクリソフが代表)でしばしばみられます。
粒子の大きさが1-20µm程度の大きさだと細隙灯顕微鏡で粒子状に見えます。
一方、100nm程度の小さい粒子の場合はIOL表面の単なる白濁として観察され、SSNG: sub-surface nano glisteningまたはホワイトニング whiteningと呼ばれます。
松島博之. Glisteningsとsub-surface nano glistening (SSNG) 前眼部アトラス(眼疾患アトラスシリーズ、第1巻): 総合医学社. 456-457. 2020
患者さんの見え方には影響がほとんどないので、無視してよい所見です。