知り合いの眼科医から[不思議な眼底の患者さんが来ました。普通の母斑でしょうか?]という質問とともに、両眼性の眼底異常の写真がメールで送られてきました。
(ディスプレイ画面をスマホで撮影したようで、白い線は画面反射のアーチファクトです。)
これは20世紀前半頃からさまざまな名称で報告されてきた眼底変化で、Congenital grouped pigmentation of the retinaとするものが多いようです。
明らかな視機能異常は伴わない非進行性の病変とされ、有名なGassの教科書でも解説されています。
Gassも記載しているように動物の足跡footprints of animalsのようにみえるのでbear tracksと記載されることもあります。
Gass JDM. Stereoscopic atlas of macular diseases diagnosis and treatment 4th edition. Vol. 2: Mosby-Year Book. P. 816-817, 1997
眼底の1区画にみられることもあれば、上記写真のように眼底全体で両眼性のこともありますが、黄斑部にみられることはまれです。
家族性発症の報告もあります。
図の自験例は人間ドックで眼底異常を指摘された58歳男性の視神経乳頭下方病変です。
色調はやや淡くサイズも小さめですが動物の足跡様で、視力正常で無症状でした。