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半盲 hemianopsia

視交叉での半交叉

ヒト視神経内を走る神経線維は頭蓋内の視交叉において半交叉します。
すなわち耳側視野に対応する鼻側網膜由来の神経線維(図の淡いピンク)交叉して反対側の視索にはいる一方、鼻側視野の情報を伝える耳側網膜からの神経線維(図の濃いピンク)は、交叉せずに同側の視索に入り、他眼の鼻側網膜由来の神経線維(図の淡い青)と合流して同側の視索を進みます。

同名半盲、両耳側半盲、1/4半盲

この解剖学的特徴のため頭蓋内疾患による視野異常は、視交叉以前の視神経障害を除けば、両眼の左右同一側の視野が障害される同名半盲(図左)か、両眼対称性に耳側視野が障害される両耳側半盲(図中央)のいずれかが主要なパターンです。
視索の後は→外側膝状体→視放線→後頭葉視覚野と進みますが、頭頂葉と側頭葉に分かれる視放線の障害では上下いずれかに限局する1/4半盲(図右)になります。

垂直線をはさむ著明な感度差

いずれの半盲でも固視点を通る垂直線を挟んで耳側と鼻側の間に著明な(10dB以上の)視野感度の差(上図下段に示すトータル偏差Total Deviationの赤四角)がみられることが半盲の特徴です。
ハンフリーなど静的自動視野計で示されるこの感度差に対応して、ゴールドマン視野計では中央の垂直線において複数のイソプターが重なります(下図左、中央)
下図右のようにイソプターが重ならず垂直線から離れる視野結果は、視野検査員の未熟さに起因する誤った結果です。