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結膜嚢胞

結膜嚢胞の多くは球結膜の水膨れ様の変化で、内面を結膜上皮細胞が裏打ちするepithelial inclusion cyst封入嚢胞)です。
Shields JA, Shields CL. Atlas of eyelid and conjunctival tumors: Lippincott Williams & Wilkins; 310-1. 1999

結膜円蓋部の結膜嚢腫

結膜嚢胞は結膜円蓋部に見られることもあり、結膜腫瘍や眼窩脂肪ヘルニアhttps://meisha.info/archives/1303との鑑別が必要になることがあります。
その原因として眼瞼結膜に存在する副涙腺由来の貯留嚢胞の可能性が指摘されています。
江口功一. 結膜嚢胞. In: 大島浩一, 後藤浩, eds. 知っておきたい眼腫瘍診療(眼科臨床エキスパート). 東京: 医学書院.259-61. 2015

結膜貯留嚢胞:18歳男性

3年前から左目内側の白目の隆起に気づいていましたが、他院で撮影したMRIにて結膜嚢胞ではないかとして紹介されました。
左の鼻側上方の円蓋部結膜が膨れて混濁した液体が貯留しています。
嚢胞壁に26Gの針を刺すと、混濁液が吸引されて、細胞診では炎症細胞が確認されました。
吸引で嚢胞サイズが縮小しても、嚢胞壁の腺細胞からの分泌液の貯留で再発するので、根治には嚢胞壁も含めた切除が必要です。

下図写真は別の症例で、嚢胞壁を結膜ごと切除して上下の結膜を寄せる手術を しました。