異物感を訴える高齢の患者さんの上まぶたを翻転すると、結膜下に埋もれた白色の結膜結石が見られることがあります。
下方の眼瞼結膜にも見られることはありますが、眼球結膜には通常みられません。
結膜下に埋もれている結石は無症状ですが、結膜面から飛び出ると角膜上皮を傷つけて異物感や点状表層角膜症(SPK)の原因になるので注射針の先か睫毛鑷子で摘出します。
Duke-Elder S. Diseases of the outer eye: conjunctiva. In: System of Ophthalmology, vol 8, part 1, p 585-6 (CV Mosby, 1965).
結膜結石の外観はマイボーム腺梗塞https://meisha.info/archives/596に類似しますが、構造的には瞼板やマイボーム腺とは関係ありません。
加齢や慢性の炎症によって過形成した結膜上皮は結膜固有層に向かって陥入してヘンレの陰窩を形成します。
その内部に脱落した上皮細胞などが変性して固まると、結膜結石になるとされます。
白色ですがCaの割合はわずかで石灰化はほとんどしません。
また周囲にリンパ球浸潤がみられるなど、成因に関しては不明な点も多くあります。
Chang SW et al: Conjunctival concretions. Polarized microscopic, histopathologic, and ultrastructural studies. Arch Ophthalmol 108: 405-407, 1990.
小幡博人: ヘンレの陰窩と結膜結石 (眼科医のための病理学). 眼科 45: 1061-1064, 2003.