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CRAOの治療

網膜中心動脈閉塞症 CRAOは眼科救急疾患の代表です。https://meisha.info/archives/3614
CRAOは塞栓による網膜中心動脈の血流停止で、網膜神経細胞が虚血により死滅します。
飯島裕幸. 網膜動脈閉塞症. In: 眼科プラクティス 21 眼底画像所見を読み解く.326-31. 2008
脳と同じ中枢神経系に属する網膜の神経細胞を虚血から救うには、発症後数時間以内にtPA治療を行う脳梗塞と同様、迅速な治療開始が必要なのです。

CRAOの救急治療

CRAOに対する救急治療の方法はさまざまです。
鈴木幸彦: 網膜動脈閉塞症. 臨床眼科 73:308-13.2019
その考え方、すなわち治療戦略は表の4つに分類できます。

* Ikeda HO et al.: Safety and effectiveness of a novel neuroprotectant, KUS121, in patients with non-arteritic central retinal artery occlusion. PLoS One 15: e0229068.2020

眼灌流圧の増大

CRAOに対する最もポピュラーな治療法は眼球マッサージと前房穿刺です。
いずれも眼灌流圧を増大させることが目的です。
灌流圧は図左のように動脈圧(赤矢印)と組織間圧(緑矢印)の差で、動脈内の塞栓を押し流す力になります。
眼球内での塞栓の場合、組織間圧は眼圧です(図右)。
急激に動脈圧を上昇させるのは危険なので、代わりに眼圧を低下させて眼灌流圧を上げるのです。

眼球マッサージで眼球を圧迫すると眼圧は上昇しますが、圧迫を解除すると眼球容積が拡大して眼圧は急激に下がります。
また前房穿刺で前房水を排除すると眼圧は一時的にゼロになり、詰まった塞栓が動脈の末梢に移動することを期待するのです。

血管拡張

CRAOでは塞栓が動脈内腔を塞いでいるので、動脈内腔を拡大できれば血流は回復あるいは増加します。
動脈を拡張させる方法としてペーパーバッグ呼吸(血中CO2濃度の増加による血管拡張)やプロスタグランジン製剤(パルクスなど)の点滴が行われます。
また頸部の星状神経節ブロック交感神経の麻痺によって血管拡張させる目的です。

血栓溶解と神経保護の詳細については次回解説予定です。