Visual snow (VS) :降雪視は視野全体に細かい雪が舞い、アナログテレビのホワイトノイズや点描画のように見える視覚陽性症状です。
片頭痛の前兆である閃輝暗点https://meisha.info/archives/965とは異なり、発作後もVSが持続する片頭痛患者が1995年に報告されました。
Liu GT et al.: Persistent positive visual phenomena in migraine. Neurology 45:664-8.1995
VSが3か月以上続き、さらに視覚保続、内視現象の亢進、羞明、夜盲などがみられる病態は、Visual snow syndrome: VSSとして、眼科や脳神経科領域で最近注目されています。
柴田護: Visual snow syndromeのSPECT所見 日本臨床 80:184-91.2022
光畑みずほ, 若倉雅登他.: Visual snow syndromeの日本人21例の検討. 日本眼科学会雑誌 125:438-45.2021
頭痛とともに四肢に力が入らず鉛筆が持てないという13歳女児が、1か月前から目を閉じると砂嵐が見えるということで、小児科から眼科に紹介されました。
両眼 -2D 程度の近視で矯正視力は両眼とも1.0でした。
眼底検査では左の視神経乳頭鼻側が軽度腫脹していましたが、ハンフリー30-2視野検査では異常ありません。
小児科でのMRIと脳波検査では異常はみられません。
本人にさらに詳しく尋ねると以下の情報が得られました。
1. 目を閉じた際の視野の白さが眩しいために涙が出る
2. 特に就寝時に雪嵐のように見えるために眠れない
3. 近視メガネの使用で授業には問題ない
4. 頭痛は拍動性ではなくジーンとする頭全体の頭痛である
1. と2.はVSSに合致します。
VSSに関して、脳血流SPECTやFDG-PETなどの脳画像解析による最近の報告から、脳の視覚連合野における情報処理ネットワークの異常が想定されています。
そのことを本人両親に説明し、小児神経科でのさらなる精査をすすめました。