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落屑症候群 XFS

落屑症候群 XFS: exfoliation syndromeでは加齢によって、白いフケあるいはかつお節様の落屑物質 XFM: exfoliation materialが眼球内の水晶体嚢、チン小帯、瞳孔縁、隅角線維柱帯などに沈着します。
散瞳して幅広のスリット光で観察すると、XFMは水晶体前嚢の中央(central disc)と周辺(peripheral zone)に観察され、虹彩の瞳孔縁にもみられます。

名称

赤外線を浴びるガラス職人の目の水晶体前嚢が薄く層状に剥がれるのは真性落屑です。
XFSの水晶体表面の付着物は虹彩、毛様体、水晶体などの上皮細胞から分泌される細胞外基質extracellular matrix: ECMが沈着したもので、剥離した水晶体嚢ではありません。
そこで以前は落屑症候群 pseudoexfoliation syndromeと呼ばれ、PE, PEX あるいはPXSと略されていましたが、現在は[偽:pseudo-]を付けずに落屑症候群 XFS: exfoliation syndromeと呼ぶことが一般的です。
尾崎峯生: 落屑症候群の疫学・病態・病因. 眼科手術 33:5-10.2020

落屑緑内障XFG

XFSの目では眼圧が上昇して緑内障を発症することが多く、落屑緑内障 XFG: exfoliation glaucomaまたはcapsular glaucoma(嚢性緑内障あるいは水晶体嚢緑内障)と呼ばれます。
XFGでは隅角線維柱帯に沈着したXFMが、房水の排出抵抗を増大することが眼圧上昇原因のひとつと考えられています。
またチン小帯の脆弱により水晶体が前進して隅角が狭くなることや、視神経乳頭篩状板の菲薄化なども関係するとされています。

小瞳孔と脆弱なチン小帯

XFG以外にXFSでは小瞳孔チン小帯の脆弱性が臨床的に問題になります。
小瞳孔は散瞳不良が原因で、白内障手術の難易度を上昇させます。
またチン小帯の脆弱性は白内障手術中のチン小帯断裂、術後の前嚢収縮、IOL偏位/脱臼https://meisha.info/archives/2562の原因になります。