• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

眼内レンズ偏位/脱臼

水晶体を支えるチン小帯が断裂して、水晶体がズレたり前房や硝子体中に脱出/落下したりする状態は水晶体偏位、または水晶体(亜)脱臼と呼ばれます。https://meisha.info/archives/2302

IOL偏位/脱臼

同じことが白内障の手術後に生じて、眼内レンズ IOL: Intraocular lens が瞳孔内でズレたり(図左)、硝子体中に落下したり(図中央)、あるいは前房中に脱出したり(図右)することがあり、IOL偏位あるいはIOL脱臼(眼内レンズ脱臼)と呼ばれます。

IOL偏位/脱臼の原因

術後早期のIOL偏位/脱臼は手術中の後嚢破損やIOL嚢外固定などで生じます。
術後3カ月以降に生じるのは、主に嚢内固定されたIOLを支えるチン小帯が断裂するためです。
チン小帯の断裂の原因として強度近視、網膜色素変性、外傷、ぶどう膜炎、硝子体手術既往などが知られていますが、最大の原因は落屑症候群(Exfoliation syndrome)です。
これは異常な細胞外基質が水晶体前面(図左、中央)、瞳孔縁(図右)、チン小帯、隅角線維柱帯にフケ状に沈着する原因不明の病態です。
落屑緑内障とともにチン小帯脆弱化が臨床的に重要です。

対応

ある程度以上のIOL偏位やIOL脱臼では矯正視力が不良となり、原則として脱臼IOLを摘出した後、IOL縫着あるいは強膜内固定によるIOL二次挿入術を行うことになります。
松島博之, 妹尾正: 手術適応と術前検査 【眼内レンズ偏位・脱臼に対する手術-最新版】. 臨床眼科 73: 140-144, 2019.