サイトメガロウイルス(Cytomegalo virus: CMV)はヘルペス属ウィルスに属するHSV、VZVとともに感染性ぶどう膜炎の主要な病因ウィルスです。https://meisha.info/archives/4743
角膜内皮炎や前部ぶどう膜炎CMV-AU以外にCMV網膜炎を生じることがあります。
Kさんは悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫)に対して、血液内科で半年前までG-B療法(ガサイバ+ベンダムスチン)を受けて状態は落ち着いていました。
3か月前の飛蚊症と1か月前からの見えにくさで近医眼科から紹介された際の矯正矯正は0.03/0.1です。
左眼には白色顆粒状の境界(granular border)を有する不規則な滲出病変と網膜出血がみられ(図左:超広角眼底カメラ)、黒点線の断面では網膜層構造が不明瞭です。(図右上:OCT像)
また右眼の周辺部では著明な網膜菲薄化を示します。(図右下)
右眼の前房水を採取してmultiplex real-time PCRを行った結果ではCMVが陽性で、CMV網膜炎と診断されました。
治療としてガンシクロビル硝子体注射を両眼それぞれ10回以上施行しましたが、最終的に両眼とも光覚なしに至りました。