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飛蚊症で散瞳して眼底検査をする理由

飛蚊症は青空などを背景にして、灰色のゴミのようなものが動いて見える症状です。
眼科を受診する患者さんが訴える症状としてはよくあるものです。
受診すると眩しくなる散瞳薬を点眼されて、眼底検査をしてくれます。
多くの場合は後部硝子体剥離とか生理的飛蚊症とかいわれて心配ないことを説明されますが、場合によっては網膜剥離の予防のためにレーザー光凝固治療が必要だと言われることがあります。
飛蚊症とは何でしょうか?

飛蚊症は硝子体中のゴミ

飛蚊症は網膜近くの硝子体中に浮かぶ濁りが、網膜に影をおとしてみえるのが原因です。
図では硝子体中にリング型とU字型の濁りが浮かんでいます。
眼球外から入ってきた光によってその影が網膜上にできると飛蚊症として自覚されます。

図は飛蚊症を訴えた眼の眼底写真です。
上は網膜にピントを合わせています。
そこから少しずつ手前にピントをずらせて、中央、下と撮影しました。
網膜の少し前の硝子体中に浮かぶ矢印で示す不整形の濁りがだんだんはっきり写真に写るようになっています。

飛蚊症の原因となる濁りの本体

飛蚊症の原因となる硝子体中の濁りの出所としては次のようなものがあります。
1. 後部硝子体膜、濃縮した硝子体
2. 炎症細胞、出血
3. 網膜裂孔に由来する濁り
若い目の硝子体内部は均質で、硝子体膜と呼ばれる薄膜で包まれています。
加齢によって硝子体のコラーゲンが濃縮すると、硝子体全体としてボリュームが減少して網膜中央部と接していた硝子体膜が、網膜から剥離し、後部硝子体剥離と呼ばれます。
その際、視神経乳頭の周囲の硝子体膜はリング状に濁っているのでリング状の飛蚊症が見えます。
このような硝子体膜や硝子体線維の濃淡に由来する飛蚊症は生理的飛蚊症と呼ばれます。
硝子体そのものではなく、炎症細胞や出血も飛蚊症の原因になります。

網膜裂孔に由来する飛蚊症

硝子体剥離が生じる際に、網膜に強く癒着している硝子体が網膜を引っ張ると網膜が裂けて網膜裂孔ができます。
網膜裂孔は放置すると失明につながる裂孔原性網膜剝離になる危険性があります。
網膜裂孔は通常眼底のかなり周辺にできるので、これを見逃さないために散瞳しての眼底検査が行われるのです。