• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

メガネ指導その3:近用メガネ

調節と老視

正視や遠視の目では手元のスマホ画面を見る時(近方視という)、毛様体筋の収縮でチン小帯を弛緩させ、水晶体(若年では弾力性に富む)の厚みを増して屈折力を増強する調節を行い、画面上の文字にピントを合わせます。

しかし加齢に伴う水晶体の弾力性低下によって調節能力は衰えるため、平均的には正視で40代半ば、遠視ではもっと若い年代で近方視が困難になり、老視(老眼)と呼ばれます。https://meisha.info/archives/314
対応は近用メガネ、すなわち老眼鏡の使用です。(無調節で手元の対象にピントが合う軽度の近視では、老視になっても裸眼で近方視可能です。)

近用メガネの掛けはずし

近用メガネはスマホ、新聞、はがきの文字を読むときに掛けて、読み終わればはずすというのが一般的です。
日曜朝6:30のフジテレビのトーク番組[はやく起きた朝は]では、50代後半の素敵な女性タレント3人が視聴者からのはがきを読む時、2人は近用メガネを掛け、読み終わるとはずします。(残りのひとりは裸眼のままで読んでいますが、軽度の近視または弱めに矯正した近視コンタクトレンズを装用しているのではないでしょうか。)
[近用メガネを掛けはずす]動作は年齢を感じさせるとしてTVではあまり見かけませんが、この番組ではお洒落に見せています。

できあい近用メガネ

メガネ店での近用メガネ作成にはそれなりの費用がかかりますが、普段裸眼で支障なく過ごしている中高年であれば乱視の矯正が不要なので、百円均一ショップなどで購入できるできあいの近用メガネ(老眼鏡)をまず勧めます。
[安物の老眼鏡を掛けていると眼が悪くなる]という俗説を信じるヒトもいますが、そのようなことはありません。
+1.0から+4.0まで0.5きざみの度数の近用メガネを試し掛けして、手元が一番見やすいものを選択するのがよいです。

眼科医による指導

度数が上がるにつれてピントの合う位置が近くに寄るので、たとえば新聞を読む際には+2.5を使用して、辞書の超細かい文字を読む際は+4.0のメガネをかけて、紙面を眼前10-20cmに近づけて拡大させて読むなど使い分けることも可能です。
筆者は図のように+1.0から+5.0までのメガネを揃えていて、試し掛けしてもらうことで、近用メガネの使用法を指導しています。(+4.5と+5.0のメガネは数年前まではダイソーで手に入ったのですが、あまり売れないためか残念ながら現在はネット注文でも購入できません。)