[目の表面が痛い]、あるいは[目がゴロゴロする]と訴えて受診する患者さんの多くは[点状表層角膜症(SPK: Superficial punctate keratopathy)]という病気です。
角膜は眼球前面の透明な壁で暗い眼球内部が透けて黒く見えるため黒目と呼ばれます。その周囲の白目は半透明の結膜を通して見える白い強膜です。
厚さ0.5ミリの角膜の大部分はコラーゲンという線維状の蛋白質でできていて、その表面を数層の角膜上皮細胞が覆っています。
点状表層角膜症(SPK)は一部の角膜上皮細胞が剥がれ落ちる病気です。
角膜上皮には痛みを伝える知覚神経(三叉神経)の線維が伸びてきています。
角膜上皮細胞が剥がれるとこの知覚神経線維の末端が露出するために痛みを感じます。
この痛みは点眼麻酔薬のベノキシールで消えます。
点眼麻酔薬では痛みがおさまらない眼球内部の炎症の痛み(虹彩炎など)や眼圧上昇の痛みと区別するのに有用です。
フルオレセインナトリウム(フルオ)という蛍光色素は角膜上皮細胞が剥がれた部分にくっつき、青い光で照らすと黄緑色に光ります。
そのため点状表層角膜症(SPK)を細隙灯顕微鏡で観察すると剥がれた角膜上皮の部分が黄緑色の多数の点として観察できます。
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点状表層角膜症の原因には紫外線、コンタクトレンズ、顔面神経麻痺(兎眼)、結膜異物、逆さまつ毛、点眼薬の防腐剤などいろいろありますが、最大の原因はドライアイです。