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相対的瞳孔ブロックとプラトー虹彩

急性緑内障発作とも呼ばれる急性閉塞隅角緑内障発作は急に目や頭の激痛を生じて見えなくなる恐ろしい病気です。
隅角からの房水の排出がストップして数時間で眼圧が60ミリ水銀柱以上に上昇して生じます。
病気の理解には房水の流れの知識が必要です。

房水の産生と排出

房水は毛様体で作られて、後房という虹彩と水晶体の間の狭いスペースに排出されます(A)。
後房から瞳孔を通過して(B)前房に出た後、周辺の隅角から排出されます(C)。
隅角の天井にあたる角膜裏面には線維柱帯という網目状の構造があり、その隙間をすり抜けて奥にあるシュレム管に流れ込み、そこから眼球表面の上強膜静脈に流出します(D)。

隅角閉塞の機序

隅角閉塞は前方に移動した虹彩根部が線維柱帯に接触してシュレム管への出口を塞いで発生します。
360度全周の隅角閉塞で房水の排出がストップすると、眼圧が急激に上昇して急性緑内障発作を生じます。
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その機序にはいくつかありますが、主なものに相対的瞳孔ブロックプラトー虹彩があります。

相対的瞳孔ブロック

瞳孔径6mm程度の中等度の散瞳では、虹彩の瞳孔縁と水晶体前面が広く接触するようになり、上図の赤点線で示した房水排出経路のうちⒷの瞳孔での房水の後房→前房への房水の流れが悪くなります。
すると前房圧<<後房圧となり虹彩が前方に押されて膨隆します。
これを相対的瞳孔ブロックと呼びます。
さらに高齢の女性の遠視眼では元々前房が浅く、隅角で虹彩と角膜が接近しているので、わずかに前方に移動した虹彩によって隅角のスペースがつぶれて隅角が閉塞し眼圧が急上昇します。
相対的瞳孔ブロックはうつぶせ姿勢での重力による水晶体の前進でも誘発されます。

プラトー虹彩による隅角閉塞

相対的瞳孔ブロックは中等度の散瞳で生じますが、8ミリ直径以上の極大散瞳では虹彩の瞳孔縁が水晶体から離れるので生じません。
しかし虹彩の断面が高原状に折れ曲がるプラトー虹彩では周辺虹彩の斜面が水平に移動して、散瞳すればするほど線維柱帯での房水排出が阻害されます。
前房中央部がそれほど浅くなくても、散瞳のみで急性緑内障発作を生じます。

隅角閉塞その他の機序

隅角閉塞にはそのほか白内障の進行による水晶体膨化などの水晶体因子や、脈絡膜毛様体の浮腫、炎症などによる毛様体の前方回転、あるいは硝子体への房水の流入などが関係する水晶体後方因子があるとされています。

日本緑内障学会: 緑内障診療ガイドライン(第4版). 日本眼科学会雑誌 122:5-53.2018