白内障は細隙灯顕微鏡でみた水晶体の断面像で診断しますhttps://meisha.info/archives/976が、その判断の結果は必ずしもクリアカットではありません。
写真は矯正視力1.0で無症状の目の細隙灯顕微鏡の写真です。
赤矢印は水晶体皮質と水晶体核の境目でやや白っぽくみえますが、これを白内障と診断するか、正常範囲内の光の散乱と判断するのかは、眼科医によって異なります。
散瞳して観察すると、水晶体の周辺まで観察できます。
また水晶体の前面から後面までは4-5ミリメートルと、かなりの奥行きがあります。
その広い範囲を丁寧に観察すると、視力正常で無症状の目でも多少の濁りが、通常ひとつやふたつはみつかります。
しかしそれをそのまま伝えると、[えー!白内障があるのですか?!!]とショックを隠せない患者さんは少なくありません。
また[両眼ともよく見えているのですが、私の眼には白内障があるのでしょうか?白内障になっていると心配です。]と尋ねる患者さんもいます。
それに対しては、以下のように答えています。
[白内障があるかないかは、診察する眼科医によって判断が異なることがありますが、それは問題ではありません。散瞳してよく探せば、わずかの白内障がみつかるかもしれませんが、それは病気とはいえません。白内障はあるかないかではなく、程度と濁りの場所が問題です。水晶体の中央付近にある程度の濁りがあって、そのために見えにくかったりまぶしさの原因になったりしていれば、病気としての白内障で、場合により手術を検討します。]