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細隙灯顕微鏡による白内障の診断

白内障は眼球内の透明なレンズである水晶体が濁る高齢者に多い目の病気です。
しかし水晶体の前にある角膜や前房あるいは後方の硝子体は正常ではいずれも透明なので、これらのうちのどこの濁りであるか判断するのは容易ではありません。

図の実線矢印で示すひとでのようにみえる部分は白内障の濁りですが、この写真では白い濁りが水晶体にあるのか、あるいは水晶体の前方の角膜や前房内にある濁りなのかがわかりません。
(点線の矢印の白い丸は光の反射によるアーチファクトです。)

細隙灯顕微鏡

そこで、眼科医は細隙灯顕微鏡という機械で患者さんの眼球を観察します。
細隙灯とは細い隙間を通過するスリット光のことです。

核白内障の目の細隙灯顕微鏡写真

図の上段のように左斜め前方から眼球をスリット光で照らし、その光が通過する点線矢印での断面像を、対物レンズと接眼レンズからなる顕微鏡で拡大して正面から観察した写真が図下段で、水晶体の中心が白く濁る核白内障であることがわかります。
同じ眼球内の透明組織でも、水に近い液体(房水)で満たされた前房や、水分99%のゲルで満たされた硝子体は、正常であれば光をほとんど散乱しないので黒くみえます。
一方、透明であっても光をわずかに散乱するコラーゲン線維を含む角膜や、水晶体線維細胞などを含む水晶体は白内障でなくても淡く白い断面として観察されます。