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眼瞼腫瘤のopen treatment

眼瞼縁にみられる腫瘤では良性の母斑や脂漏性角化症悪性の脂腺癌、基底細胞癌との鑑別が重要です。https://meisha.info/archives/695
小幡博人: 眼瞼腫瘍の診療の要点. 日本眼科学会雑誌 123:785-804.2019
数カ月間隔で記録した写真で増大傾向がなく良性と判断されれば無治療でもよいのですが、大きく目立つ場合などで整容的な改善の手術を希望する患者さんがいます。

open treatment

眼瞼腫瘤ではホームベース型切除による excisional resection や楔形切除による incisional resection がよく行われます。
しかし良性の眼瞼母斑(母斑細胞母斑)や脂漏性角化症(通称:セボケラ)に対しては、図のように腫瘍のみをそぎ落とすopen treatmentが一般的です。
縫合は不要で、周囲の上皮によって創面は自然に覆われます。
高村浩. 母斑. In 知っておきたい眼腫瘍診療(眼科臨床エキスパート). 東京: 医学書院.211-3. 2015

症例:81歳女性

両眼の白内障手術を受けた4年前にすでに左上まぶたの腫瘤はありましたが気になりませんでした。
最近気になるようになり、切除希望で大学を紹介されました。
腫瘤はマイボーム腺開口部前縁と睫毛の間の皮膚から出ています。

外来手術

E入りキシロカイン1%を円蓋部結膜下と皮下に注射して麻酔https://meisha.info/archives/218し、挟瞼器で挟んでまぶたを固定して、11番メスで腫瘍基部をそぎ切りました。
縫合せず露出した創面にタリビット眼軟膏を塗布して圧迫眼帯をしました。
翌日から1日2回の軟膏塗布を指示して、1週間後の再来時には創部は上皮化されていました(上図右)。
患者さんも満足され、[母斑細胞性母斑で良性]との病理検査結果も伝えました。

保険請求

余談ですが、手術の請求はK225-2:結膜腫瘍摘出術ではなく、K005: 皮膚皮下腫瘍摘出術(露出部)2cm未満、1660点です。
令和元年度全国審査での日眼医の見解では[K225-2:結膜腫瘍摘出術、6290点]は眼瞼・結膜に及ぶ場合に算定するとされています。