スターガルト病の眼底自発蛍光(FAF: Fundus autofluorescence)では、黄斑(低蛍光)の周囲の過蛍光と、さらに強い過蛍光を示す黄色斑フレックfleckが特徴です(図左、case 1は12歳男性、矯正視力0.1/0.3)。https://meisha.info/archives/5879

一方、フルオレセイン蛍光造影(FA: Fluorescein angiography)では、背景蛍光がブロックされるdark choroid(上図右、case 2は44歳女性、矯正視力0.6/0.3)が特徴です。
黄斑ジストロフィの診断ガイドライン. 日本眼科学会雑誌 123:424-42.2019
FAFでの過蛍光やFAのdark choroidは網膜色素上皮(RPE: Retinal pigment epithelium)細胞に蓄積する過剰なリポフスチンが原因ですが、その機序はどうなっているのでしょうか?
光刺激によるphototransductionの最初の段階で、杆体外節円板膜内のロドプシン (RHO) に結合する11-cis retinal (11-cisRAL) は異性化でall-trans retinal (atRAL)となった後、ロドプシンから遊離して円板膜の内外に放出されます。
円板膜の外(すなわち視細胞の細胞質)に放出されたatRALはretinol dehydrogenase(RDH8,RDH12)により還元されてall-trans-retinol (atROL)となり、その後RPEに運ばれて11-cisRALに再生されます(レチノイドサイクルhttps://meisha.info/archives/3862)。

一方円板膜の内側(細胞膜外に相当)に放出されたatRALはphosphatidyl ethanolamine: PEと結合してN-retinylidene-PE (N-ret-PE) となり、膜輸送蛋白によって細胞質側に運ばれます。
ABCA4 (ATP-binding cassette subfamily A member 4)はこの外節円板膜に存在する膜輸送蛋白をコードするスターガルト病の原因遺伝子です。
常染色体潜性(劣性)遺伝を示すスターガルト病ではこの円板膜内→細胞質への輸送不全のため、蓄積して再利用されないatRALの代謝産物(di-retinoid-pyridinium-phosphatidylethanolamine: A2PEなど)がRPEに貪食された後 di-retinoid-pyridinium ethanolamine (A2E)となってリポフスチンの主要成分になります。
新井英介 他: Stargardt 病に関連した網膜変性疾患と新しい治療の可能性. 日本眼科学会雑誌 121:7-16.2017
なおスターガルト病にはABCA4以外の原因遺伝子として、PRPH2, ELOVL4, PROM1なども知られています。