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スターガルト病

小児期に発見される代表的な黄斑ジストロフィhttps://meisha.info/archives/3495には、ベスト病https://meisha.info/archives/1357以外にスターガルト病(Stargardt disease: STGD)があります。

スターガルト病の診断要件

スターガルト病と診断するには、以下の2点をともに満たすことが必要です。https://www.nanbyou.or.jp/entry/4799
①眼底写真で黄斑部の萎縮病巣と黄斑周囲の黄色斑fleckが観察される
眼底自発蛍光(FAF)写真での背景の過蛍光、黄斑萎縮部の低蛍光、黄色斑の過蛍光、またはフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)写真での暗い背景蛍光(dark choroid

②はFAF、FAのいずれか一方を確認すればOKです。
黄斑ジストロフィの診断ガイドライン. 日本眼科学会雑誌 123:424-42.2019

症例:12歳男子

1年前からの両眼の視力低下を主訴に紹介されました。
10歳時に1.2/1.2だった矯正視力は12歳時には0.1/0.3と急速に低下していました。
両眼対称性に黄斑部は粗造で、血管アーケード付近にfleckが多数観察されました。(図上段)
眼底自発蛍光FAFで黄斑部は低蛍光を示しますがその周囲は過蛍光を示し、fleckはさらに強い過蛍光を示しました。(図下段)
視神経乳頭周囲には正常背景蛍光が温存されるperipapillary sparingがみられました。

OCTでは黄斑部で外顆粒層とエリプソイドゾーン(EZ)が消失する外層網膜の萎縮像がみられましたが、視神経乳頭脇では網膜外層は正常に保たれていました。

病型のばらつき

スターガルト病の主要な遺伝子異常はABCA4ですが、その病型には下記のA~Cのようなばらつきがみられるとされます。
角田和繁: 黄斑ジストロフィ. あたらしい眼科 42:321-8.2025
A. 黄斑萎縮の急速な進行で小児期の数年で0.1以下の視力になるケース(上記症例)
B. 中心窩の回避によって視力が長期間温存されるケース
C. 病変が黄斑部にとどまらず周辺部までの広範囲に網脈絡膜萎縮をきたすケース