• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

黄斑ジストロフィの指定難病申請

(指定)難病とは?

厚生労働省のHP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/には以下のように記載されています。
難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病について、治療方法の確立等に資するため、難病患者データの収集を効率的に行い治療研究を推進することに加え、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する制度です。

眼科の指定難病

指定難病のうちベーチェット病サルコイドーシスの申請に関わる診断書を眼科医が記載することもまれにありますが、眼科固有の指定難病は永らく網膜色素変性https://meisha.info/archives/2834のみでした。
しかし2015年から黄斑ジストロフィが新たに加わりました。

指定難病認定のメリット

指定難病に認定されることのメリットは以下の2つです。
患者さんにとってのメリット:診療費の自己負担分について公費の補助が得られます。
診療所にとってのメリット:難病外来指導管理料270点が認められています。
ただし算定は月に1回のみで、治療計画に基づいて行った療養上必要な指導内容がカルテに記載されている必要があります。

黄斑ジストロフィの認定

黄斑ジストロフィの認定には、眼科主治医が記載した[臨床調査個人票]を添付する必要があります。
書式は2015年に厚労省により作成された基準https://www.nanbyou.or.jp/entry/4799に依りますが、認定の大原則は以下の2点を満たすことです。
1. 診断のカテゴリーにおいて確実例 (definite)であること
2. 重症度分類において視力良好な側の目の矯正視力が0.3未満

ここで確実例と診断する条件としては以下のAからDの4項目があります。

A. 症状:両眼の視力低下(程度は問わないが、急性の視力低下は除外)
B. 検査所見①眼底写真、②FAまたは眼底自発蛍光所見、③電気生理学的検査所見、④OCT所見(それぞれの詳細は割愛)
C. 鑑別診断:薬物性、外傷性、後天性網脈絡膜疾患など6つの病態をすべて除外できる
D. 家族歴:家族歴がある

確実例 (Definite)

診断の確実例 (Definite) には4つのカテゴリーがあります。
Definite 1:A + Bの3項目 + C
Definite 2:Bの4項目 + C
Definite 3:特異的な所見から下記の6つの診断名のいずれかに該当
Definite 4:Bの2項目(Probable 1) + C + D、またはAまたはBの1項目(Probable 2) + C + D

Definite 3の6つの診断名

Definite 3に含まれる6つの診断名は以下のごとくです。
1) 卵黄状黄斑ジストロフィ(ベスト病)
2) スターガルト病
3) オカルト黄斑ジストロフィ
4) 錐体ジストロフィ、および錐体-杆体ジストロフィ
5) X連鎖性(染色体)若年網膜分離症
6) 中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ