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中心性漿液性脈絡網膜症 CSC の眼底自発蛍光 FAF

眼底自発蛍光Fundus autofluorescence: FAF撮影での自発蛍光autofluorescence: AFの欠如(無蛍光)は、RPEが裂ける網膜色素上皮裂孔https://meisha.info/archives/1230や、ブルッフ膜がひび割れる網膜色素線条angioid streaks: AS https://meisha.info/archives/1567でみられます。
一方、遺伝性のベスト病https://meisha.info/archives/1357スターガルト病では外節のレチナール由来の自発蛍光物質が網膜下やRPEに蓄積するためにAFの過蛍光が特徴です。

CSCの自発蛍光

漿液性網膜剥離serous retinal detachment: SRDを生じるポピュラーな後天性疾患である中心性漿液性脈絡網膜症central serous chorioretinopathy: CSC https://meisha.info/archives/1931ではさまざまなAFの異常を示します。
図右端のOCTは垂直方向のもので、網膜下液中の高反射はフィブリンです。
藤田京子: 中心性漿液性脈絡網膜症と眼底自発蛍光OCULISTA 34:33-7.2016

CSCでは伸長した外節網膜下液、さらには下液が吸収した後にみられるプレチピテートprecipitateなどが過蛍光AFを示しますが、その機序はどうなっているのでしょうか?

オールトランスレチナールの代謝

正常眼底でのAF発生源はRPE内のリポフスチンで、視細胞外節内のall trans retinal: atRALに由来します。
杆体外節の円板膜にはロドプシンrhodopsin分子が埋め込まれていて、その内部の11-cisRALが光をキャッチすると光学異性体のatRALとなりphototransductionで視細胞が過分極しその信号を双極細胞に伝えます。
このときatRALはrhodopsin分子から離れますが、細胞毒性をもつatRALのアルデヒド基はただちに還元されてall trans retinol: atROLとなります。
atROL光受容体間レチノール結合蛋白質interphotoreceptor retinol binding protein: IRBPに結合してRPEに運ばれ、図下段のレチノイドサイクルhttps://meisha.info/archives/1873によって11-cisRALに変換され、再び杆体外節にもどって再利用されます。

しかしその際、一部のatRALは2分子が細胞膜に豊富に含まれるphosphatidyl ethanolamine: PEと結合してA2PE (N-retinylidene-N-retinyl-phosphatidylethanolamine)となります。
RPE内でのAF源であるリポフスチンの主要構成要素はA2E (N-retinylidene-N-retinyl-ethanolamine)ですが、A2PEはその前駆体でA2Eと同様、AFを発生します。

CSCでは延長した外節SRF中に浮遊するその脱落片、さらにこれを貪食したマクロファージから成るプレチピテートA2PEが含まれるためAF過蛍光像を呈します。