• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

複視の診察

近視/遠視/乱視などの屈折の異常や調節力が衰える老視では、メガネがないとものがぼやけて見えます。
「両目で見るとものが二つに見える」という複視の訴えの中には、このような片目での「ぼやけ」が含まれることを以前に「ニセの複視」として紹介しました。
https://meisha.info/archives/8
複視の原因を調べる前に、患者さんの訴えが真の複視かニセの複視かまず確認することが重要です。

複視として紹介された例

70歳の男性が他院で両眼の白内障の手術を受けたあと、「ものが二つに見える」との訴えで複視の精査目的で紹介されてきました。
両眼とも眼内レンズが問題なく挿入されていて、屈折は+0.5Dの軽度遠視、右眼には円柱レンズ0.75Dの乱視もありましが、裸眼視力は0.8/1.0とまずまずです。
診察室で壁の時計を見てもらうと「ズレて見える」と言います
そこで「ズレは左右か、上下か、あるいは片方が回転しているのか」と尋ねましたが、ズレの方向は答えられませんでした。
眼球運動は正常、眼位は正位で、結局、訴えの原因は軽度の遠視性乱視による像のぼやけだと説明しました。

ズレの方向を尋ねる

複視は右目と左目の像のズレです。
ズレの有無だけでなくそのズレが左右のズレか、上下のズレかを確認すべきです。
特殊な場合としては回転ズレの場合(回旋複視)もあります。
https://meisha.info/archives/27
さらに複雑なのはこれらが組み合わさって、「斜めにズレてしかも片方が左下がりに回転している」のようなズレも少なくありません。

診察室での尋ね方

具体的には患者さんの左目を隠して壁の時計をまず見せて時計がひとつであることを確認します。
次いで左目を隠した手(あるいは遮閉板)をはずして、新たに見えるもう一つの時計が図のどれになるかを確認するとよいでしょう。
図では遮閉をはずして新たに見える時計に薄緑の色をつけて示してあります。