• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

眼筋型MGの診断

重症筋無力症MG: myasthenia gravisは症状と検査で診断されます。
症状は眼筋や四肢、体幹筋などの筋力の低下によるもので、易疲労性日内変動を示します。https://meisha.info/archives/2193
眼筋型MGの症状は眼瞼下垂複視です。

抗体検査

上記症状があり、以下のいずれかの自己抗体が証明できればMGと診断できます。
重症筋無力症診療ガイドライン2014Ⅰ総論 CQ2-1 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg.html
1. 抗AchR(acetylcholine receptor)抗体:抗アセチルコリン受容体抗体
2. 抗MuSK(muscle-specific tyrosine kinase)抗体:抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体
この2つ以外に抗Lrp4(low-density lipoprotein receptor related protein 4)抗体の存在も報告されていますが、MGに特異的とはいえず、診断基準には含まれません。
鈴木利根: 自己抗体別重症筋無力症の臨床像. あたらしい眼科 36: 587-592, 2019.

神経筋接合部障害を示す検査

ただし特に眼筋型MGでは、検出感度などの問題でいずれの自己抗体も陰性と判定されるDS-MG: double seronegative MGのことが少なくありません。
そのようなケースであっても、他の神経筋疾患が鑑別できる条件下で、神経筋接合部障害を示す以下の5つの検査のうち、ひとつでも陽性であればMGと診断できます。

塩酸エドロホニウム試験(テンシロンテスト)

塩酸エドロホニウムは短時間作動性の抗コリンエステラーゼ剤https://meisha.info/archives/1140の一般名です。
テンシロンはその商品名ですが日本での商品名はアンチレクスです。
コリンエステラーゼのブロックで過剰となったAchのムスカリン作用によって、徐脈性不整脈を起こすリスクがあるので、点滴ルートを確保して行うとされています。
全身副作用の心配なしに眼科医でも容易にできる検査が、以下の眼瞼の易疲労性試験とアイスパック試験です。

眼瞼の易疲労性試験

患者に上方視を指示して眼瞼下垂を生じれば陽性です。
1分を経過しても眼瞼下垂が生じなければ陰性と判断します。

アイス(パック)試験

冷凍したアイスパックをガーゼまたは薄いタオルに包み3-5分間上まぶたに押し当てて、眼瞼下垂が改善すれば陽性です。
アイスパックの保冷剤は硬くならない小さめのものを用意して、検者も同時にまぶたに当てて冷え具合をチェックするとよいです。

塩酸エドロホニウム試験では両側の眼瞼に影響が出るので、試験開始前と開始後の写真を撮影して比較する必要があります。
一方、アイスパック試験は下垂の目立つほうの眼瞼に行い、冷却後に反対側と比較できるので判定は容易です。

筋電図検査

MGの筋電図検査は2つあり、複合筋活動電位の減衰率をみる反復刺激試験と、単線維筋電図での筋活動電位の潜時の差の変動をみる検査です。