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重症筋無力症MGの眼筋型

後天性の眼瞼下垂https://meisha.info/archives/1083をみた場合、重症筋無力症MG: myasthenia gravis https://meisha.info/archives/1140は重要な鑑別対象です。
MGでは表のような筋力低下による症状がみられます。
しかもその特徴として反復運動によって増悪する易疲労性と、そのための日内変動が重要です。

筋のグループ分け

前記の表の1-9の症状はいずれも筋力低下に由来します。
関係する筋は眼筋など顔面の筋(1-3)、四肢筋(8)、体幹筋(7,8)、口咽頭筋(3-6)、呼吸筋(9)に分類されます。
ちなみに症状3の顔面筋の筋力低下は前頭筋、眼輪筋、口輪筋で評価します。
このうち眼筋に含まれる眼輪筋の筋力低下は、両目を固く閉じても睫毛が隠れずに見える睫毛徴候https://www.neurology-jp.org/news/news_20080715_01.htmlで判断します。

MGのクラス分類:MGFA分類

MGFA (MG foundation of America)分類は、関与する筋群とその筋力低下の程度によって5つのクラスに分類するものです。
ClassⅡからⅣは四肢体幹筋の筋力低下が軽度、中等度、高度で分類されます。
各クラスのサブクラスaは球麻痺や呼吸麻痺に関係する口咽頭筋、呼吸筋がひとつ前のクラスの状態ですが、サブクラスbでは四肢体幹筋の重症度と同じレベルになります。

眼筋型MG

MGFA分類のClass Ⅰは眼筋型MGと呼ばれ、[眼筋筋力低下であって閉眼の筋力低下であってもよいが、他のすべての筋力は正常]と定義されています。https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg.html
障害される眼筋(とその症状)は、眼瞼挙筋(眼瞼下垂)、内外上下直筋と上下斜筋(複視)、眼輪筋(閉瞼障害)です。
MG患者の約半数が眼瞼下垂や複視だけを呈する眼筋型として発症します。
その後全身型(MGFAⅡ-Ⅴ型)に進行する症例もありますが、発症後2年以降での全身型への進行はまれです。
したがって[眼筋型]という最終診断は発症後2年で下すのが適切です。
重症筋無力症診療ガイドライン.  (2014). CQ5-1 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg.html