• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

結膜母斑の嚢胞変化

結膜母斑を結膜悪性黒色腫 MM: malignant melanomaから鑑別するポイントとして嚢胞の存在があります。https://meisha.info/archives/2373

症例:Aさん、91歳女性

Aさんは生下時から右目の内側にほくろがあることに気づいていました。
今回、背中の皮膚にみられた表皮内癌であるBowen病の治療を皮膚科で受けました。
その際、右目の内側の黒色病変を指摘されて大学の眼科を受診するようすすめられました。
大学への紹介状は同じ病院の眼科医からのもので、[右涙丘部の腫瘤の診断をお願いします]というものでしたが、本人と付き添い家族の話では、診察した皮膚科医が拡大鏡で眼部病変をよく観察して[白目のところのほくろの表面に半透明の隆起があり、目の悪性黒色腫の心配があるので専門医によく見てもらうよう]と言ったそうです。

黒色腫瘤表面の透明隆起

細隙灯顕微鏡で観察すると右涙丘部の黒色腫瘤の表面には多数の嚢胞がみられ、そのうちの1個が特に大きく目立ちます。
皮膚科医はこれに気づいたのだと推測されます。

嚢胞は母斑の特徴でMMを否定する所見

母斑表面の嚢胞を拡大鏡で確認した皮膚科医の観察眼には敬服しますが、嚢胞の存在は緩徐拡大することもある母斑https://meisha.info/archives/2377の特徴であって、むしろMMを否定する根拠となる好ましい所見です。