• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

結膜母斑のマネージメント

結膜母斑の患者さんあるいはその親が気にするのは
1. 悪性腫瘍である悪性黒色腫(メラノーマ)の心配
2. 整容的問題
の二つです。
後者であれば手術(小児なら全身麻酔、成人なら局所麻酔)による切除で、念のため病理検査を行います。

結膜母斑 VS メラノーマ

性黒色腫(メラノーマ)は遠隔転移により生命に関わる皮膚がんですが、結膜に生じることもあり、結膜母斑との鑑別は重要です。
結膜母斑に特徴的な嚢胞が確認されればメラノーマではないと判断できますが、https://meisha.info/archives/2373細隙灯顕微鏡検査でははっきりしないケースもあります。
また結膜母斑であったものが、歳をとって結膜メラノーマに悪性転化することも稀にあるとされます。
Shields JA, Shields CL. Atlas of eyelid and conjunctival tumors.  244-251 (Lippincott Williams & Wilkins, 1999).

写真撮影による経過観察

メラノーマの疑いが強ければセーフティマージンをつけて手術的に切除しますが、通常は数カ月毎に写真撮影して拡大の有無をみます。
では5年間の経過で色素沈着の増加はみられますが、母斑自体の拡がりはほぼ不変です。

結膜母斑の拡大

結膜母斑であるのに経過中、拡大したと感じることはあります。
特に上図のように思春期に色素沈着が増すと、親は増大したと心配して受診します。
結膜母斑の病理検査で、細胞増殖マーカーであるKi67で母斑細胞を染色すると、腫瘤深部では染まらず成熟した細胞像を示すのに対して、結膜上皮下では陽性となる増殖細胞がみられるとされています。

加瀬諭: 前眼部色素性病変:結膜母斑、虹彩嚢胞、転移性虹彩腫瘍. あたらしい眼科 37: 15-21, 2020.
したがって幼小児期には母斑細胞の分裂増殖による軽度の拡大があるのかもしれませんが、前記のShieldsの教科書では、”remains stationary”と記載されています。

炎症性結膜母斑

またアレルギー性結膜炎に伴う色素に乏しい結膜母斑の場合、アレルギー性炎症の充血、浮腫によって一時的に拡大することがあります。
炎症性結膜母斑と呼ばれ、抗アレルギー薬などの点眼でおさまります。

加藤久美子: 炎症性結膜母斑. あたらしい眼科 36: 1155-1156, 2019.