水晶体融解性緑内障phaccolytic glaucomaは水晶体起因性緑内障https://meisha.info/archives/4657のひとつのタイプです。
過熟白内障https://meisha.info/archives/4652などで水晶体皮質が液化すると、水晶体蛋白が水晶体嚢から前房中に漏れ出します。
これが隅角線維柱帯に詰まって房水の流出を妨げることで眼圧が高度に上昇する続発開放隅角緑内障です。
以前から左眼視力は不良でしたが放置していたAさんは、昨日夕方から左眼の眼痛と充血を生じ、近医を受診して大学病院を紹介されました。
矯正視力は1.2/指数弁、眼圧16/52mmHg、左眼角膜には浮腫がみられ、前房内は乳白色に混濁していました。
グリセオール点滴にて眼圧を下降させ、緊急手術施行。
前房洗浄したところ、前嚢は溶けて確認できなかったため(注)、広げた強角膜切開創から水晶体核をすくい出し、硝子体カッターにて前部硝子体ごと残存皮質と後嚢を切除しました。
術後眼圧は正常化して、後日眼内レンズを縫着して矯正視力1.2/0.6となっています。
注:phacolytic glaucomaでは通常、異常のない水晶体嚢を透して水晶体蛋白が漏れ出ますが、このケースでは溶けて消失していました。
Chacko DM, Rosenquist RC. Lens-induced glaucomas. Principles and Practice of ophthalmology 2nd ed: WB Saunders.2759-60. 2000