水晶体起因性緑内障は水晶体が原因で高度の眼圧上昇を生じる病態の総称です。
Chacko DM, Rosenquist RC. Lens-induced glaucomas. In: Principles and Practice of ophthalmology 2nd ed: WB Saunders.2759-60. 2000
その原因と機序に関して、緑内障ガイドライン第5版には[ぶどう膜炎、水晶体物質、白内障手術、膨隆水晶体、水晶体脱臼]が記載されています。
表はそれらのメカニズムをわかりやすく整理したものです。
水晶体が関係する開放隅角緑内障には、ぶどう膜炎のような炎症(前房中に出た水晶体蛋白に対する免疫反応)で起こる場合と、水晶体物質(水晶体蛋白など)が線維柱帯を閉塞して起こる場合があります。
後者のうち液化した皮質の水晶体蛋白が水晶体嚢を通過して生じるのがphacolytic glaucoma(水晶体融解性緑内障)です。
一方、水晶体嚢外摘出術などで残存する水晶体皮質に起因するものはlens particle glaucomaと呼ばれます。
閉塞隅角緑内障は水晶体のサイズが大きくなる膨隆水晶体intumescent cataractでphacomorphicの機序で生じる場合と、水晶体脱臼https://meisha.info/archives/2302によって水晶体が前方に移動して生じる場合があります。
いずれにおいても、瞳孔ブロックhttps://meisha.info/archives/837のメカニズムで隅角閉塞を生じる場合と、後方から虹彩を押すことで直接隅角を閉塞させる場合の二つのメカニズムが存在します。