網膜の血管腫としてはフォンヒッペルリンドー(VHL)病が有名です。
VHL: Von Hippel-Lindau病は3番染色体に存在する癌抑制遺伝子、VHL 遺伝子の変異によって脳脊髄の血管腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫など、全身性に腫瘍を形成する常染色体顕性(優性)遺伝病です。https://www.nanbyou.or.jp/entry/689
VHL病の血管腫は図左のように視神経乳頭にみられることもありますが、図右のように赤道部から眼底周辺にみられる場合は流入流出血管が拡張蛇行を示し、進行すると血管腫からの滲出が問題になります。
一方、VHL病の網膜血管腫に類似しますが、全身他臓器の異常は伴わず、流入流出血管の拡張がみられない眼底周辺の病変はVasoproliferative tumor of the retinaとして報告され、日本語では後天性網膜血管腫と呼ばれることもあります。
略称としてVPT, VPTR, VPRT (vasoproliferative retinal tumor)などと記載されます。
赤味に乏しい腫瘤であっても蛍光眼底造影検査を行うと、造影早期からのフルオ染色と漏出がみられます。
多くは原発性のprimary VPTですが、網膜色素変性https://meisha.info/archives/726などに伴って生じる続発性のsecondary VPTのこともあります。
Tanimukai T et al.: Noninvasive Imaging of a Vasoproliferative Retinal Tumor Treated with Cryopexy. Case Rep Ophthalmol 13:611-6.2022
無症状のこともありますが、下記のような続発性病変を生じて、視力低下などの症状を示すことがあります。
1. 黄斑部滲出性変化:黄斑浮腫、硬性白斑、漿液性網膜剥離など
2. 網膜上膜 ERM https://meisha.info/archives/1863
3. 硝子体出血