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網膜色素変性

光を感じる視細胞が徐々に死滅する遺伝病

夜盲で発症し、進行とともに視野が狭くなる網膜色素変性は、光を感じ取る視細胞の死滅脱落が、周辺網膜から求心性に徐々に進行して黄斑部に迫ってくる遺伝性の病気です。
眼底検査では、中央の黄斑部には網膜本来の赤みのある色調がみられますが、その周囲は色落ちした脱色素性の変化を示します。
多くはその中にとげ状の黒い色素沈着が見られるために網膜色素変性と呼ばれます。

視細胞を支える網膜色素上皮細胞(RPE)に含まれるリポフスチンは自発蛍光を発します。
眼底全体がわかる広角眼底カメラの眼底自発蛍光像で暗く見える周辺部ではRPEは委縮消失していて、その範囲が眼底写真の脱色素性の変化に一致することがわかります。
なお黄斑部に残る自発蛍光部の中に観察される白い楕円形のリング(hyperautofluorescent ring)については別の機会に説明予定です。

確実な治療法はまだない

現在のところ失われた視細胞を復活させる治療はないので、狭くなった視野を広げることはできません。
この点は失われた視野が回復しない緑内障に似ています。
ただ、緑内障では視野障害の進行を遅らせる点眼薬や手術などの治療法がありますが、網膜色素変性での進行を遅らせる確実な治療法はありません。
いくつかの内服薬が処方されることがありますが、進行を遅らせる効果は証明されていません。

開発中の治療

現在開発中の網膜色素変性の治療は以下の3つです。
1. iPS細胞による再生網膜移植
2. 人工網膜移植
3. 視細胞の障害速度を遅らせる遺伝子治療
このうち、1.のiPS細胞治療は臨床研究として2020/10に1例目の移植手術が行われました。
http://kobe.eye.center.kcho.jp/files/20201016/3010889b015c428075bb176bb0f2eca195bdd4f5.pdf
https://www.nanbyou.or.jp/entry/418