皮質白内障、後嚢下白内障とともに、核白内障は白内障の基本病型のひとつです。https://meisha.info/archives/983
核白内障では水晶体核の屈折率が増加して水晶体皮質との差が拡大するため、近視化します。https://meisha.info/archives/2021
川守田拓志, 魚里博. 他覚屈折. 眼科プラクティス25眼のバイオメトリー: 文光堂.247-51. 2009
Mさんは-6.5D/-7.0Dの近視のメガネで不自由ありませんでしたが、6か月前に右眼が見えにくくなって受診したところ、-8D/-7Dと右眼の近視進行を指摘されました。
その後、近視がさらに進行したとして、大学病院の眼科を紹介されました。
RV = 0.05 (0.7 X -12.0D cyl -2.5D Ax 180)
LV = 0.06 (1.2 X -6.25D cyl -1.75D Ax 15)
視力は右眼で軽度低下していましたが、右眼の近視はさらに進行して左右差は6Dになっていました。
角膜、眼底には異常なく、細隙灯顕微鏡による水晶体断面を図に示します。
細隙灯顕微鏡では前房や硝子体など透明な組織は暗く見えます。
左眼の水晶体核(図右)はその前後の皮質に比べて暗くほぼ正常と判断されましたが、右眼の水晶体核(図左)は前後の皮質に比べて白く、核白内障の進行が右眼の急速な近視化の原因と考えられました。
ただし糖尿病やステロイド内服、アトピー性皮膚炎、眼外傷の記憶など白内障進行のリスク因子は見当たらず原因は不明でした。
左眼の近視に合わせて、目標屈折を-5D程度とする右眼のPEA/IOL手術をすすめました。