多くの白内障は、水晶体の断面を細隙灯顕微鏡で観察して診断します。
https://meisha.info/archives/976
水晶体の断面では前嚢、前部皮質、核、後部皮質、後嚢を区別します。
白内障は濁る部位によって、前極白内障、皮質白内障、核白内障、後嚢下白内障、後極白内障などと分類されます。
前極白内障は前嚢中央直下の狭い範囲の混濁で、後極白内障は後嚢中央の同様の濁りです。
後嚢は膜状のコラーゲンでできていて、通常濁ることはありません。
しかし後嚢に接する水晶体皮質が面状に濁るとあたかも後嚢が濁っているように見えます。
これは後嚢下白内障と呼ばれます。
細隙灯顕微鏡での見え方は後嚢混濁(後発白内障)https://meisha.info/archives/861と同様です。
後嚢下白内障での濁りは面状でその厚みはわずかです。
そのため細く絞ったスリット光での断面像で観察するのは困難です。
そこでスリット光の幅を広げて後嚢にピントを合わせ、後嚢面からのざらざらとした反射で診断します。
徹照法は幅広のスリット光を斜め方向ではなく正面から当てて、眼底からの赤い反射光(red reflex)のシルエットとして観察する方法です。
後嚢にピントを合わせると後嚢下白内障の拡がりがよくわかります。