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後発白内障とレーザー後嚢切開術

白内障手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに薄くて透明な人工眼内レンズ(IOL: intraocular lens)を入れます。
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その結果、ほとんどの患者さんはよく見えるようになったと喜びます。
しかし半年程度以上経過して、[再び見えにくくなった]と訴えて眼科を受診する患者さんが1割程度います。
これは後発白内障と呼ばれることもありますが、白内障の再発ではなく、後嚢混濁PCO: posterior capsular opacity)が原因です。

後発白内障(後嚢混濁 PCO)のメカニズム

水晶体は水晶体嚢と呼ばれる袋が水晶体核水晶体皮質を包む構造で、これがチン小帯という糸で眼球内に吊り下げられています(図B)。
手術では水晶体嚢の前面(前嚢)に窓を開けて核と皮質を取り除き、残った嚢の中に眼内レンズをいれます(図C)。
水晶体嚢はコラーゲンでできた本来透明な膜ですが、手術後わずかに残った水晶体皮質の上皮細胞が増殖して光を散乱すると後嚢が濁る後発白内障を発症します。
これが後嚢の前面に沿って求心性に瞳孔中央まで広がると、視力低下を伴う後発白内障になります(図D)。

Nd:YAGレーザー後嚢切開術

治療はNd:YAGレーザー後嚢切開術で外来にて10分程度で終了します。
Nd:YAGレーザーはナノ秒(10億分の1秒)という超短時間のパルス発振が可能なレーザー光で、エネルギーが短時間に集中することで、熱ではなくプラズマ爆発が起こります。
その際の急速な膨張による衝撃波で狙った位置の後嚢を円形または十文字に切ることができます。

図左は治療前の目で瞳孔内の後嚢部分がすりガラスのように濁って見えます。
その前にある人工眼内レンズは透明なので写真には写っていません。
治療後図右のように後嚢中央が破れて窓ができ、ここを通して患者さんはよく見えるようになります。
窓周囲の後嚢にぴったり接触している眼内レンズがはずれる心配はありません。