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白内障の手術治療

白内障は水晶体が濁る病気です。
白内障用の目薬はありますが、
https://meisha.info/archives/782
一度濁って見え辛くなった目は目薬をさしても元にはもどらないので治療の基本は手術です。
白内障の手術を理解するには下図の赤字で示した水晶体を構成する4つのパーツの理解が必要です。

水晶体の4つのパーツ

水晶体核は水晶体の中央にあり、細胞構造を失った硬い蛋白の固まりです。
その周囲の水晶体皮質は水晶体上皮細胞と水晶体線維細胞からできています。
両者は水晶体嚢というコラーゲンのシートでできた袋に包まれています。
白内障で濁るのは水晶体核と水晶体皮質で水晶体嚢は濁りません。
さらに水晶体嚢にはチン小帯という多数の細い糸が付着して、その他端は毛様体につながり、虹彩と硝子体の間に固定されています

昔の白内障手術

40年前の手術は水晶体を丸ごと取り出す水晶体嚢内摘出術(ICCE)でした。
濁りは取れますが凸レンズの水晶体がなくなるので通常、手術後は強度の遠視眼となります。
そのため分厚い凸レンズのメガネなしでは何も見えませんでした。

眼内レンズを挿入する現在の手術

現在は水晶体嚢の前面(前嚢)に窓を開け、硬い水晶体核を超音波で砕いて水晶体皮質とともに吸い出し、残った嚢の中に眼内レンズを入れるPEA/IOL手術が一般的です。
https://meisha.info/archives/761
PEA/IOLはPhacoEmulsification and Aspiration(超音波乳化吸引)とIntraOcular Lens implantation(眼内レンズ挿入術)の略です。
薄いプラスチック製の眼内レンズにはバネ作用のある2本のひげのような足がついていて、これが水晶体嚢の円周部分を内側から突っ張ることで固定されます。

眼内レンズの度数選択とメガネ

通常の白内障手術では眼内レンズ度数を患者さんの生活スタイルに合わせて選びます。
屋外作業者であれば、メガネなしの裸眼で遠くにピントが合う正視になるような眼内レンズを選びますが、手元のメモを見る際には老眼鏡が必要です。
小説家であればメガネなしで手元にピントが合う軽度の近視になるような眼内レンズを選びますが、運転する際には近視メガネが必要です。
以上は一般的な白内障手術で移植される単焦点の眼内レンズでの話ですが、遠近両用メガネ(累進屈折力レンズメガネ)のような多焦点眼内レンズ(最近は老視矯正眼内レンズとも呼ばれる)もあります。
ビッセン宮島弘子: 老視矯正眼内レンズ. 日本の眼科 91:1173-8.2020
裸眼で遠くも近くにもピントが合いますが、手術費用がやや高額で単焦点眼内レンズよりも見え方の鮮明さが劣ることが欠点です。