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核白内障と近視化

白内障は混濁部位によって皮質白内障、核白内障、後嚢下白内障に大別されます。
水晶体中央の核または前後の皮質のいずれの濁りが主であるかは、細隙灯顕微鏡のスリット光を狭くして水晶体断面を観察するとわかります。
これに対して透明な後嚢に接するわずかの厚みの水晶体皮質が混濁する後嚢下白内障は、断面での観察ではよくわからないので、スリット光の幅を広げて、後嚢面からのすりガラス様の反射像で診断します。

核硬化と近視化

核白内障では矯正視力の低下だけでなく、近視が進行します。
Brown NA, Hill AR: Cataract: the relation between myopia and cataract morphology. Br J Ophthalmol 71: 405-414, 1987.
水晶体の屈折率が核硬化により増大する屈折性近視https://meisha.info/archives/933のメカニズムです。

酸化と核硬化

核白内障核硬化は老化だけでなく、高圧酸素療法hyperbaric oxygen therapyによる水晶体蛋白の酸化で進行します。
Beebe DC: The lens. In: Levin LA et al (Eds): Adler’s physiology of the eye 11th ed. Saunders, Elsevier, 131-163, 2011.
また水晶体を温存して行う硝子体切除術でも同様に、酸化による核硬化がみられます。
硝子体ゲルが房水に置換されると、前房水に溶解する酸素が容易に後嚢側から入ってきて、水晶体蛋白を酸化するためです。

症例

Mさんは44歳の時、裂孔原性網膜剝離で左眼の硝子体手術を受けました。
もともと強度近視でしたが、他眼も同程度の強度近視だったので水晶体は温存しました。
3年後に左眼の核白内障が進行した際に、4.5Dの近視の進行がみられました。