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近視の種類:軸性近視と屈折性近視

近視の目では手元のスマートフォンの文字は裸眼で読めますが、遠くの黒板の文字はぼやけて読み取れません。
すなわち近見裸眼視力は良好ですが、遠見裸眼視力は不良ということです。https://meisha.info/archives/300

これは近視では、近くからの開散光線は網膜上に焦点を結ぶのに対して、遠方からの平行光線は網膜の前方に焦点を結ぶためです。

その理由は以下の2つのいずれかです。
1.  凸レンズ作用のある角膜と水晶体のいずれか、あるいは両者の屈折力が強すぎる
2.  網膜の位置が角膜や水晶体から遠い

屈折性近視と軸性近視


1. は屈折性近視と呼ばれ、円錐角膜球状水晶体と呼ばれる特別な病気でみられます。
図上段の正視の目に比較して、中段の目角膜は前方に突出してカーブが急峻です。
また水晶体も厚いので、角膜、水晶体ともに凸レンズ作用がより強く、その結果、平行光線の集光位置は網膜の前方になります。
2. は軸性近視と呼ばれます。
図下段のように眼球の壁である強膜が伸展して、角膜から網膜までの距離である眼軸が伸びるために網膜の前方に集光します。。

図は左目だけが強度の軸性近視の患者さんのMRI画像です。
赤の点線で示す左目の眼軸長が右目よりも長いのがわかります。

近視の多くは軸性近視

近視の多くは軸性近視なので、眼軸長と近視度数をグラフにプロットすると両者の間に直線的な相関関係がみられます。
角膜中央の前縁から網膜の中心窩までの眼軸長は正視では約24ミリメートルです。
眼軸長が1ミリメートル伸びると近視の度数はおよそ3D(ジオプター)増加します(眼軸長が28ミリメートルの目では-12D程度の近視になります)。