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近視は病気か?

学校での視力検査の結果、B,C,Dと判定されて眼科を受診する学童の多くは近視または近視性乱視(以後両者を近視と総称)です。
(2020/8/23投稿の[学校での視力検査]https://meisha.info/archives/295を参照)
学童の近視は、進行すると黒板の字が見えにくいため授業の理解が不十分になり、成績が低下することが問題です。
しかしこれは近視を矯正するメガネを掛ければ解決します。
ただし眼科医がメガネを勧めると、多くの親は落胆します。
それは近視の進行による裸眼視力の低下を病気だと信じているからではないでしょうか。
近視は果たして病気でしょうか?

近視の度数はメガネの度数

近視の度数は最適のメガネレンズの度数で決まります。
レンズの度数は焦点距離の逆数で、単位はジオプター(D)です。
図上の凸レンズは50センチメートル(1/2メートル)離れた点で焦点を結ぶので、そのレンズ度数は1/2の逆数で+2Dになります。
一方、近視のメガネは凹レンズで平行光線を開散させます。
図下の凹レンズの開散光は25センチメートル(1/4メートル)手前で1点になり、ここが焦点です。
光の方向と逆向きに焦点ができるので、マイナスをつけ、1/4の逆数なので-4Dというのがこの凹レンズの度数になります。
そしてこのメガネで最もよく見えるようになる近視の目の度数も-4Dと表します。

近視の程度

日本近視学会https://www.myopiasociety.jp/は近視の程度を次のように定めています。
① 弱度近視:-0.5D以上-3.0D未満の近視
② 中等度近視:-3.0D以上-6.0D未満の近視
③ 強度近視:-6.0D以上の近視

病的近視にみられる近視性黄斑症

近視が進行して強度近視になると眼底の壁である網膜や脈絡膜、強膜に異常を生じて病的近視と呼ばれます。
さらに黄斑部に変化を示す病的近視は近視性黄斑症と呼ばれ、その進行したものでは脈絡膜新生血管や黄斑委縮を生じて矯正視力も不良になります。
これは2020/8/10投稿の[眼球に注射する加齢黄斑変性]https://meisha.info/archives/119で紹介した滲出型加齢黄斑変性と類似の変化です。
当然、メガネをかけてもよく見えません。
このような滲出型加齢黄斑変性や近視性黄斑症は間違いなく病気ですが、裸眼視力が不良なだけの弱度や中等度の近視は病気とは言えません。

病気である加齢黄斑変性と普通の近視の違い

実は視力はメガネ使用によって[裸眼視力と矯正視力]に分類されます。また視力表までの距離の違いによって[遠見視力と近見視力]に分類されます。
表の上段と左欄に記載したこの2つの視力分類を組み合わせると、[遠見裸眼視力]のように4つの視力が存在します。
近視も老視も遠見、近見の矯正視力は正常ですが、加齢黄斑変性や白内障ではこれらが低下します。
実は眼科医が問題にする視力の低下は矯正視力の低下です。
矯正視力の低下は糖尿病網膜症や緑内障などの病気でも進行するとみられます。
一方、裸眼視力が低下していても矯正視力が正常な老視や近視は、適切なメガネを処方すれば解決できるので病気とは認識していない眼科医が多いのです。